エルゴノミクスを独自の美学で表現した"Pivot Stool"は、姿勢の動きを制限することなく、あらゆるシートポジションに適応するようにデザインされたスツール。
まるで関節のように傾くクッションは、座ると荷重と摩擦で傾きが保たれる仕組みになっており、正しい姿勢だけでなく、 状況に応じて心地良いポジションを見つけることができます。
木工技術の中でも特殊な旋盤木工技術を持つ熟練の職人によって可能にした、3つのセクション(ベース・台座・クッション) は、それぞれが明確な機能を持ちながら、最も美しく見える比率で構成されています。
マットな質感で、丸くソフトな印象を与えるフォームは、美しく 光と陰を描き出し、インテリアの特徴をさらに引き立てます。 歴史ある奈良の吉野檜を存分に使用し、上品で清涼感溢れる香りが空間を優しく包み込みます。
Collaborated with : Apple Jack, 株式会社 さかとういす
開発協力 : 株式会社 中西製作所
Pivot Stool
WHY / context
デザイナーには、職人への敬意や社会における機能性など、独自の美意識をもって製品に意味を持たせる使命があると私たちは考えています。
Pivot Stoolは、エルゴノミクスや構造などデザイナーの持つ知識とアイデアをもとに、職人のアドバイスを受けながら、
共に学び、創り上げていく手法で、約4年の月日を経て具体化させています。
奈良県東吉野エリアで活動する、アトリエ Apple Jack の小林兵庫氏は、吉野エリアの産地である吉野檜や吉野杉を使い木工旋盤加工で作品の製作を得意とする職人。また、伝統技術『木桶づくり』を応用した技法での具体化は、彼の発想によって生まれました。本プロジェクトのために若い職人がその木桶づくりの技術を学んだことで、昔ながらの業界の慣例である、分業による技術継承問題の解決に繋がっています。
また、さかとういす株式会社は、数々の名作家具の修復を手がける椅子張り職人集団。単なる球体フォルムへの生地張りではなく、機能的で美しい佇まいが現れるようなディティールを突き詰めた技法で製作されています。
これらの卓越した手仕事によって、人間工学に基づいたユニークな構造が実現され、シンプルなフォルムでありながら、細部まで考え抜かれた木工技術と椅子張り技術で、隅々まで繊細で洗練されたディテールとして現れています。
まさにPivot Stoolは、デザイナーと職人との共創によって美しさと機能性が見事に調和したプロダクトになりました。
HOW / application
POUF
素材:吉野檜(端材)、ウルトラスエード®
ボールジョイントの構造を応用した布張りのクッションは、高級車の内装にも使われている超スムースなウルトラスエードを使用し、座ったときに素材同士の摩擦により、人間工学に基づいて 0 度から 25 度の角度を保つことができます。クッション内部の芯材は製造工程で発生する吉野檜の端材を集成して作られています。
LOWER BASE
素材:吉野檜
日本の伝統技法「木桶づくり」で製作し、意匠面を旋盤木工技術で製作しました。内部はあえて木桶の名残を表現しています。
MIDDLE BASE
素材:吉野檜
吉野檜を使用し、同じく旋盤木工で削り上げたお皿のような凹型の形状が特徴で、スムーズなクッションの動作を可能にしています。
WHAT / implementation
Pivot Stoolはアトリエが位置する奈良県東吉野で生産される吉野檜を活用することで地域に貢献するとともに、製造工程で発生する端材やレザーなどを活用し環境に配慮しています。
また長くご愛用いただけるよう修復可能な構造や、職人のキャパシティを考慮し、必要な人達のための必要十分な生産スタイルである完全受注生産で対応しています。
デザインにおいては、いかにも人間工学の家具といったものではなく、ユーザーが無理なく健康について考える機会を生み出す受け入れやすい家具を目指しました。全て吉野檜を利用しているので、檜独特の清涼感あふれる上品な香りが空間の特徴をより一層引き立てます。
Pivot Stoolは5色のカラーバリエーションから選べます。